はじめての皆様へのご挨拶

2024年1月30日火曜日

2024年の想定

2020年4月から「前門の信用収縮(=経済情勢(大)悪化)、後門の過剰流動性(高インフレ)」という想定を唱えてきたが、2024年も引き続き(2025年までは)この想定を継続している。

ただし、2024年内(少なくとも上半期まで)という時間軸で見ると、インフレの高進/低下がどうなるかは分からないという上で、致命的な経済情勢の悪化というのは考えづらいのではないかと想定している。

また、「東京および東京圏」と「それ以外の地域」で、これまで以上に状況が乖離する(乖離幅が高まる)と想定している。


こう考える理由の1つ(他にも様々なことを見て考えているが、とりあえずの例示)としては、少しずつ出てきつつある今春の大企業のベースアップについての状況にある。

既に広く知られているとおり、このベースアップについて、ざっくり見ている限り現時点では、だいたい3%~5%の幅の中のどこかというのが落ち着きどころではないかと捉えている。

大企業の賃金については、多少なりともインフレ傾向で進むことになるだろう。


これを受けて、日本銀行の判断はまた難しさを増すのではないかと妄想している。

上で述べたとおり、大企業(端的に言うと、東京および東京圏)では賃金インフレが進むと想定している。そのため、日銀はマイナス金利解除まではしたいものと想像している。

しかし、東京圏以外では、インフレ率が低い(デフレ圧力が強い)。定性面を見ても、(定量面以上に)この傾向にあると捉えている。そのため、この観点で見ると、日銀は金融引き締めと受け取られかねないことをしたくないものと想像している。

(余談、マイナス金利を解除すると、市場(特に、外国人)はゼロ金利解除までも想像すると想定している。ひいては、過剰な価格形成を誘発する可能性があるものと想像している。)

米国の政策金利が低下方向に転換すると想定されている今、市場をあまり刺激したくはないのではないかと思う。

政策決定というのは、(セーフティネットを用意した上で)まずは最優先事項を手当てする、ということであるが、そうなると、基本的に強者側を”最優先事項”とすることは難しいと思っているので、本件についておそらくは「東京圏以外」を取ることになるのではないかと仮説立てている。

つまり、マイナス金利解除まではするとして、その先は踏み込まず、結果、東京および東京圏はインフレ/それ以外はディスインフレ(ないしデフレ)、というのが最優位の想定ということになる。


米国は「ノーランディングかソフトランディングか」と巷で言われている。

このフレーズを借りると、私は、日本(米欧もであるが)は「ソフトランディングかハードランディングか」というのが基本的な想定している上で、具体的に以下の3パターンを想定している。

  • 高インフレを伴ったソフトランディング
  • 高インフレを伴ったハードランディング
  • 高インフレを伴わない(デフレを伴った)ハードランディング

その上で、より短期的には、日本に関しては、適度なインフレ下(ディスインフレ下)での経済情勢の良化を第一の想定としている。

なお、日銀がマイナス金利を解除した場合でも、それだけでは経済情勢に大きな影響を与えないのではないかと考えていることも補記しておく。

また、地政学面の事象により、資源価格等が高騰することで世界的に高インフレが再来するパターンというのを頭に入れていることも補記しておく。

2024年1月1日月曜日

[年初の御挨拶] 謹賀新年

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

2024年が皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたします。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

少子化・高齢化vs技術革新の構図

インフレ/デフレを想定する上で、雇用という点に焦点を当てると、基本的にはインフレ圧力が働きやすい構造となっていると考えている。 現代の産業構造においては、雇用への影響について、(資本集約型ではなく)労働集約型(※)の産業/事業の割合が高いものと捉えている。 ...