はじめての皆様へのご挨拶

2024年3月23日土曜日

「社運を賭け」ている時点で”負け確”である

経営/事業、は博打ではない。かつ、経営/事業に100%確実なことは何一つとしてない。

故に、経営/事業において行うことというのはひとえに、成功を得るための試行錯誤(=思考と行動)と、失敗したときに致命傷を負わないための試行錯誤(=余力管理)、この両方のOODA-LOOPの掛け算ということになる。


前回の記事([動く/行動する教の功罪])では、動きすぎることがなぜ経営/事業に悪影響を及ぼすと私が考えているのかについて記した。

今回は、その派生で「社運を賭ける」ことを好む者が如何にして社を潰すのかについて記す。


率直に、私は「社運を賭けて―」などといった言葉を口から出す経営者/事業者というのを全く評価も信用もできない。

経営資源管理(余力管理)というのは、経営者や事業者の最も基本にして最低限の仕事の1つであると考えているためである。

この定義に照らし合わせると、社運を賭けなければならない状況を作り出した時点で、経営資源管理(余力管理)に失敗しているものと考える訳である。

また、そんな経営資源管理が「仕事」である経営者や事業者が、それすらできないにも関わらず、”一発”当てる確率など限りなく低いとも考えている。

失敗したときに致命傷を負わないための試行錯誤は比較的”計算可能な(コントロール可能な)”範囲が大きいものである一方、成功を得るための試行錯誤(=思考と行動)は”完全には計算不可能な(コントロール不可能な)”ものであるためである。

「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉があるが、これは私の経験知含む歴史の教訓としてそう言えるものであると確信している。


私は、「社運を賭けて―」という言葉を経営者が発した時点でその社は既に”負け確”であると考えている。

もちろん、そういった賭けを1万回試行すれば、少なくとも1回は勝つだろう。しかし、それは「経営」「事業」とは到底言えないものである。

重ね重ねとなるが、経営者・事業者(および運用者)にとって、余力管理は最も基本にして最低限の仕事の1つなのである。

リーダーシップや人心掌握、イノベーションを起こすには、などといったキラキラしたものが持て囃され、そういったことを追いたくなる時代であることは理解するが、経営者・事業者の仕事を履き違えてはならない。

2024年3月20日水曜日

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2024年2月23日金曜日

「動く/行動する」教の功罪

「決める(決断する)」ということは、「やることを決める」ことではなく、「やらないことを決める」ことである―ということを久々に思い起こす場面に出くわしたので改めてここに備忘しておく。


少なくとも私が学生時代の頃(15年ほど前)からずっと、「動く(行動する)」ことは絶対の正義であるという風潮が確実にある。


たしかに、動く/行動するということ自体は、ここで改めて言うまでもなく(そして、経営者/事業者であればほぼ全員が認識している通り)極めて重要なことである。

動く/行動することなしに自社や自身の課題が解決されることはほぼない。

また、自社や自身の理想や最低目安などを達することもほぼない。

これは、動く/行動することによって、自社や自身の課題がドンピシャで解決される/理想や最低目安をドンピシャで達成できる機会(要素)を探り当てているからだと理解している。


その上で、動く/行動することはできているにも関わらず、自社や自身の課題がドンピシャで解決される/理想や最低目安をドンピシャで達成できる「絶好の機会」が訪れた際に、その機会を掴むことができないパターンを往々にして見る。

このパターンにおいて、行動量の不足のために掴むことができないというものはそれほど多くないように思う。

(前述の通り、経営者/事業者はほぼ全員が行動(量)の重要性を認識しており、そもそも何かしらの形で常に行動しているものである。)

ではどういったパターンが多いかというと、絶好の機会を「掴む」ための経営資源(ヒト、カネ、モノ、ジョウホウect...)が足りないというものである。


端的に言うと、これは「動きすぎ」である。

経営者/事業者というのは、ただ動けば良いというものではない。

思考なしにただ動くだけでは、貴重な(有限である)経営資源を無限にすり減らすだけで終わる。

(なお、往々にして経営者当人/運用者当人はそのことに気付かない。)

絶好の機会を「掴む」ための余力を残しながら「動く」ということが肝要なのである。


経営/事業というものは、”キラキラしたものに流される””流行りを追うことしかできない”という者が継続的に結果を出し続けられるようなものではない。

大事なので何度も書くが、経営資源は有限である。

「全て」の施策を同時並行で高レベルに行うことができるとするならば、それはAmazonやAlphabet(Googleの親会社)などの、資本が実質的に無限にある、極限られた企業のみである。

自社や自身がその水準にないのであるならば、貴重な有限の経営資源をどこに配分するか、即ち、どこには配分”しない”のか、ということを決めることが「経営者/事業者の(にしかできない)お仕事」となるのである。

2024年1月30日火曜日

2024年の想定

2020年4月から「前門の信用収縮(=経済情勢(大)悪化)、後門の過剰流動性(高インフレ)」という想定を唱えてきたが、2024年も引き続き(2025年までは)この想定を継続している。

ただし、2024年内(少なくとも上半期まで)という時間軸で見ると、インフレの高進/低下がどうなるかは分からないという上で、致命的な経済情勢の悪化というのは考えづらいのではないかと想定している。

また、「東京および東京圏」と「それ以外の地域」で、これまで以上に状況が乖離する(乖離幅が高まる)と想定している。


こう考える理由の1つ(他にも様々なことを見て考えているが、とりあえずの例示)としては、少しずつ出てきつつある今春の大企業のベースアップについての状況にある。

既に広く知られているとおり、このベースアップについて、ざっくり見ている限り現時点では、だいたい3%~5%の幅の中のどこかというのが落ち着きどころではないかと捉えている。

大企業の賃金については、多少なりともインフレ傾向で進むことになるだろう。


これを受けて、日本銀行の判断はまた難しさを増すのではないかと妄想している。

上で述べたとおり、大企業(端的に言うと、東京および東京圏)では賃金インフレが進むと想定している。そのため、日銀はマイナス金利解除まではしたいものと想像している。

しかし、東京圏以外では、インフレ率が低い(デフレ圧力が強い)。定性面を見ても、(定量面以上に)この傾向にあると捉えている。そのため、この観点で見ると、日銀は金融引き締めと受け取られかねないことをしたくないものと想像している。

(余談、マイナス金利を解除すると、市場(特に、外国人)はゼロ金利解除までも想像すると想定している。ひいては、過剰な価格形成を誘発する可能性があるものと想像している。)

米国の政策金利が低下方向に転換すると想定されている今、市場をあまり刺激したくはないのではないかと思う。

政策決定というのは、(セーフティネットを用意した上で)まずは最優先事項を手当てする、ということであるが、そうなると、基本的に強者側を”最優先事項”とすることは難しいと思っているので、本件についておそらくは「東京圏以外」を取ることになるのではないかと仮説立てている。

つまり、マイナス金利解除まではするとして、その先は踏み込まず、結果、東京および東京圏はインフレ/それ以外はディスインフレ(ないしデフレ)、というのが最優位の想定ということになる。


米国は「ノーランディングかソフトランディングか」と巷で言われている。

このフレーズを借りると、私は、日本(米欧もであるが)は「ソフトランディングかハードランディングか」というのが基本的な想定している上で、具体的に以下の3パターンを想定している。

  • 高インフレを伴ったソフトランディング
  • 高インフレを伴ったハードランディング
  • 高インフレを伴わない(デフレを伴った)ハードランディング

その上で、より短期的には、日本に関しては、適度なインフレ下(ディスインフレ下)での経済情勢の良化を第一の想定としている。

なお、日銀がマイナス金利を解除した場合でも、それだけでは経済情勢に大きな影響を与えないのではないかと考えていることも補記しておく。

また、地政学面の事象により、資源価格等が高騰することで世界的に高インフレが再来するパターンというのを頭に入れていることも補記しておく。

2024年1月1日月曜日

[年初の御挨拶] 謹賀新年

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

2024年が皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたします。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2026年の想定

2026年も既に半分が過ぎてしまった。 もはや「2026年の想定」などと語る時期でもなくなってしまった感があるが、毎年恒例(と自分で勝手に思っている)なので、遅ればせながら書いておこうと思う。 まず、世の中のマクロ経済に対する見方を見ていると、どうも極端な...