インフレ/デフレを想定する上で、雇用という点に焦点を当てると、基本的にはインフレ圧力が働きやすい構造となっていると考えている。
現代の産業構造においては、雇用への影響について、(資本集約型ではなく)労働集約型(※)の産業/事業の割合が高いものと捉えている。
(※)私は知識集約型と呼ばれるものも実際は労働集約なものであると定義している。
そして、誰しもが知っているとおり、我が国日本では少子化により、(将来の)労働者が減少する一方である。また、高齢化により(労働から離脱した者の)消費は増加する一方となる。
そうすると、大変教科書的なお話ではあるが、労働(者)が生み出す財・サービス(=供給)よりも消費(者)(=需要)が大きくなるから、インフレ圧力が働きやすくなる。
つまり、時間軸を長期で取った場合に、雇用に関してはインフレ圧力が働きやすい構造であると想定している。
その一方で、AIをはじめとした技術革新というものは、基本的に雇用に対してデフレ圧力を与える。これはわざわざここで説明するまでもないだろう。
そうなると、労働集約型産業を資本集約型産業に置き換える(または、完全には無理でも、一定程度資本集約化する)ことにより、労働者の減少分の供給を技術革新がどの程度埋めることができるのかというところが、長期的に見た雇用という点に焦点を当てた場合のインフレ/デフレ想定の最も重要な材料の1つとなると考えている。
なお、労働集約型産業を資本集約型産業に置き換えるという点について、大資本には可能であっても、(中~)小資本にはかなり厳しいことであると現時点では考えている。
(相当の技術革新および当該技術の汎用化(低価格化)により可能となるかもしれないとも考えているが、基本的にこういったことは最も悪いケースから想定を組み立てておくと丁度良いと思っている。)
そうなると、小規模事業者にとっては、技術革新が及びづらい(技術革新の提供者にとって市場メリットが薄い)戦場を選んでいく(上手くピボットしていく)というのが、長期的に生き残る道の1つとなるのではないかと想定している。
また、これらの想定から、時間軸を長期で取ると、様々な経済活動において中途半端なもの(中規模なもの)が減少し、「超マクロ」か「超ミクロ」に2極化していくのではないかと妄想している。